漢方

わたくしが漢方に本格的に出会ったのは、大学医局在籍中です。わたくしの先輩でアトピー性皮膚炎外来担当だった者が、あらゆる西洋医学的手法でも難治であった患者さんに使用し、その手応えを医局会で報告したのを聞いたのがきっかけです。主任教授は、統計学的な有効性の評価が行われていないことで、積極的には採用しないことを決定しましたが、皆さんに効果があるとは言えないものの、著効例が存在すること、何とかしたいという先輩の気持ちが理解できたことより、私的に学び始めました。確かに医師の主観が大きく反映すること、偶然効果があったと判断せざる得ない症例も多いことより、一応自然科学者の立場にある者として、戸惑うことも多かったのですが、とあるきっかけで聴講した、三田哲郎先生の講演に感銘を受け、その後本格的に使用することにしました。三田先生は皮膚科専門医であられますが、ご実家が漢方薬局を営んでいる関係で、漢方薬の皮膚疾患での効果を、理論的背景・実践から検討なされています。先生は西洋医学を学んで来た医師が、漢方の持つ不合理性を理解できない点を認められておられて、漢方が四柱推命と同様に、美的に美しい体系化を志向する傾向があり、その結果矛盾点に目を瞑って来た歴史を語られ、この講演では実質的な正論と自分が考える部分をご紹介しますということで、西洋医学での知見も交えての講演内容は納得の行くもので、現在のわたくしの漢方薬選びは、三田先生のお考えに沿ったものです。なお薬剤はエキス剤を用いていますので、健康保険が適用されます。

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