医学の歴史において、ある薬剤が偶然に効いたことより病態の一部が明らかになったことが多くあり、特に精神神経科領域に目立ちます。
今回、偶然ではないものの、あまりに著効したことで、アトピー性皮膚炎の病態の概ねが明らかになりました。そのくすりは商品名デュピクセントで、主にインターロイキン13の阻害薬です。
主軸はインターロイキン13の角化細胞への影響で、角層での天然保湿成分の低下、その結果としてのバリアー機能の低下が起き、アレルギーはそれに付随することになります。またアレルギーがないタイプはB細胞の活動性が低いからである可能性が高いです。
するとみなさんがデュピクセントを使えばいいわけですが、実際はそうは行きません。理由は高価なくすりだからです。そこで前段階としてのオーソドックスな治療の上での、難治例の使用が認められるのみです。
さてそうすると従前の対応で有効である治療を行うことになります。理論上有効なのがステロイドホルモン・免疫抑制剤・保湿剤・光線療法・抗酸化作用を期待しての漢方薬になります。
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