2014/02/17介護保険と疥癬

来年4月より介護保険法が施工されます。それにあたって、皮膚科医として心配なことがひとつあります。疥癬が広く伝播しないかという危惧です。


まず疥癬について説明します。疥癬虫がヒトの角層内に寄生し、そこで生殖活動を行い、その子孫を増やしてゆく寄生性皮膚疾患です。典型的には指間部に虫が移動してできる疥癬トンネルができたり、男性の場合では上記の症状は示さず、皮膚科医でも見ただけで疥癬と診断することは困難です。現在ではいわゆる寝たきり老人に寄生することが多く、そうした方を収容している病院や老人ホームで主に問題になっています。つまりある限られた場所にのみ存在しているのが、今回介護保険法の施工に伴い、在宅介護として家庭内に持ち込まれて一気に一般化する危険があるのです。


治療の中で国が認めているのは、クロタミトンか硫黄の外用ですが、このくすりでは成虫のみにしか影響しないため、少なくとも3週間は全身に塗り続けなければなりません。しかし現実には症状が軽くなってくると段々と外用が疎かになってくる傾向が強く、完治しないことが多いのです。そこで皮膚科医はγ-BHCという1960年代に用いられていた農薬を特効薬として利用するのですが、これは公式には認められていない行為なのです。臨床皮膚科学会では、γ-BHCの使用を公認することおよびその使用法をマニュアル化することおよびイベルメクチンという経口剤を疥癬にも適用することを厚生省に求めていますが、その答えは未だないようです。


危惧は外れて、現在のところ広く伝播している様子はありません。


平成17年に、治療上大きな動きがありました。イベルメクチンが特定療養費制度適用になりました。特定療養費制度では、薬剤負担は全額自己負担になりますが、その他の部分は、保険適応になります。特定療養費制度を利用する場合、医療機関は届け出義務付けられますが、当院は既にそれを行っています。


その後、通常保険扱いになりました。

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